2018年5月18日金曜日

友達についての思索・9

 LINEの友達が増えない。
 LINEの公式アカウントを入れて、登録者は7人しかない。だから人間は6人だということだ。なぜいちど公式アカウントを数に含めてみたのか。そのほうが多く思われるとでも思ったのか。7も6も、どちらにせよ農夫の戦闘能力くらいのものではないか。
 そしてその6人のうち3人は、妻と、母と、姉だ。実に全体の50%は身内の女である。すごい比率ではないか。もしも登録者が500人だとしたら、250人が身内の女だということになる。どれだけの大女系一族だというのか。彼はいったいどんな人生を送るというのか。
 そして残りの3人は、先般から行っている出張関連の人々であり、そもそもここらへんとの事務的な連絡をLINEでするために僕はタブレットを持つことになったのだという、そういう来歴がある。しかしいざ持ってみればほとんど連絡のやりとりはなく、まあ仕事関連の人とのやりとりなんてないに越したことはないわけだが、とにかく大事なのは、この3人もまた決して友達ではない、ということだ。
 つまり書き出しで「友達が増えない」と書いたが、これはちょっと雑な表現なのだ。増える、増えない、というのは、今回の僕のように、0からまるで変動がないパターンのときは、あまり使うべきではないと思う。1が2になるとか、2万が2万のままだとか、そういうのが「増える」とか「増えない」ということだ。じゃあ0が0のままなのはなんと言えばいいのか。
 答えは「生まれない」。
 だから書き出しを校正するとこうなる。
 LINEの友達が生まれない。
 なぜなのだ。なぜ爆誕しないのだ。ルギアだって爆誕したというのに、なぜ僕のLINEの友達は爆誕しないのか。爆誕という表現をポケモンの映画のそれで初めて知ったので、ルギアがどういうものかも知らずに、いつまでも爆誕という言い回しにはルギアがセットになってついてくる。
 僕はてっきり、LINEを始めたらもっとサクサク友達ができるものかと思っていた。サク友だと思っていた。ひっきりなしに「友達かも?」みたいな世話をLINEは焼いてくれるのかと思っていた。だって! だってスマホやタブレットの類というのは、ものすごく位置情報とか閲覧履歴とか探ってくるじゃないか! じゃあLINEは、けっこう近場にいて、僕と趣味や嗜好がわりと合う感じの人とか、知ってるってことじゃないか! 紹介しろよ! 「友達かも?」「いい友達になれるかもよ?」「生涯の友人となる人かもよ?」と世話を焼け! 焼けよ、焼いてくれよ……。